お嬢様になりました。
家に着くまで、お祖父ちゃんはずっと唸るように考え込んでいた。


そこまで考えなくてもいいと思うんだけどな。


ここでも私が折れなきゃいけないんだろうか?


でもそうなるといつも護衛の人が付いて回るわけで……そう考えると体がブルっと震えた。


そんなの絶対ヤダ!!


車のドアが開き外に出ると、燕尾服を着た知らない男性が出迎えてくれた。



「旦那様、葵お嬢様、お帰りなさいませ」

「葵、紹介しよう。 彼は今日からお前さんの執事を務める内藤じゃ」

「……え?」



私の執事?


今そう言ったよね?



「……荒木さんは?」

「あやつならクビにした」



もしかして私のせい?


私が誘拐されたから……?



「クビにする必要ないじゃん!!」

「何を言っておる。 あやつがついておりながら、葵は誘拐されたんじゃ。 あやつの責任でもある」

「違うよッ!!」



違う!!


荒木さんに責任なんてない。


私が勝手に一人になっただけ。



「荒木さんは何も悪くないッ!! 荒木さんじゃなきゃ嫌ッ!!」

「葵、ワガママを言うんじゃ……」

「お願いッ!! 護衛でも何でも付けていいからッだからッ……荒木さんを辞めさせないで……っ」





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