しいと星屑




「新見くん…!」

なんだか、だんだんと話すコツを
掴めてきたような気がした


これもきっと雪乃ちゃんのおかげ…


ありがとうありがとうありがとう…



「…何?」


彼はやっぱりどこか寂しそう


その雰囲気は、

彼の眼
彼の声
彼の言動


とにかく全てから滲みでている


私は、何故かそんな彼に興味を持つ



どんな趣味してるの、私



「えっと…私の名前…言ってないから」

彼は不思議そうに、
でもどこか落ち着いた眼で私を見る

そんな眼にどんどん引き込まれてしまう


まるで彼の眼はブラックホール…!


「しい…だっけ」


……しい?

私、名字言い切ってなかったっけ。



だんだんと恥ずかしくなってきた


"しい"って…呼んだよね、今。


なんか、一種のあだ名みたいじゃない?




「…椎名、千文っていいます」



改めて自分を紹介するって、
意外とドキドキするものだ…


私は彼の前に右手を差し出した


だって、した方がいいよね?握手



"よろしくね"の握手




彼は少し驚いたような顔で、
私の右手を見た

そして、私の右手を彼の右手が握った


ううん、違う


これは明らかに、

"触れてる"っていうだけだよ…



握手をするのが右手で良かったと思う


心臓の鼓動に近い左手だったら、
胸から肩、腕を伝って、

私の速い鼓動に気づかれてしまう


握手を発明した人に感謝しなくちゃな、

うん。




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