あの夏の永遠~二度と会えない君へ~

赴任先で

春になり、ヒロの赴任先が決まった。

親元から近いが、海の向こうだった。

江梨達にはしなければいけない事があった。

二人で書いた婚姻届けを出せないように、親が無理矢理ヒロに婚姻不受理届けを書かせて役場に連れて行き出させていたのでその期限が切れるのを待ち入籍する事だ。

法律も調べ、不受理届けの取り消しも出す方法もあった。

厄介なのはヒロの本籍地でないとできない手続きだらけだった事だ。

ヒロの本籍地は不便な山奥だった。



ヒロと不受理の切れる日に入籍しようと話す為に、江梨も度々海を渡った。

本当に愛していた。

こんなに深く人を愛したのも、愛されたのも初めてだった。

ヒロの事も、ユウの事もケイの事も愛していた。

その頃……

江梨の父親が病に倒れた。

当時は食道炎と聞かされていたが、後で食道癌だと知った。

それを知ったのは江梨の目の前で、父が死んだ直後だ。


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