あの夏の永遠~二度と会えない君へ~
愛し抜くということ

君の名字を名乗る

調停中の時、やはりヒロが親に隠れて江梨と相談していた時の事、

『私達……別れてもヒロちゃんの名前を名乗る』

「そんなのうちの親が許さないよ」

軽い憎しみが江梨の心に沸いた。

『それでも法学部なの?許しを乞う必要もないわ。

別れた後、どちらの姓を名乗るかは自由で、父親方には何の権利もないのよ。』

許す……。

許しを乞うのはいったい誰なのか、それは神だけが知る事だろう。

『ケイは別れても、一生ヒロちゃんの長男よ。

私はヒロちゃんを愛して、ヒロちゃんと結婚してヒロちゃんの奥さんになった。

家族になった証、別れても一生ヒロちゃんを愛して生きていく覚悟ができているから、私は名字をこのままでいる。

ヒロちゃんの名字で生きる事が私の誇りでプライドよ』


江梨はヒロと別れた後、今でもヒロの名字を名乗っている。

ユウも江梨の実家の後継ぎになる事を放棄して、三人一緒の名字を名乗っている。

後悔はしていない。
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