あの夏の永遠~二度と会えない君へ~

不幸でしかなかったかと聞かれたら

それは違う。

江梨は確かにヒロと出会うまでは、生家の家族ともうまくはいっていなかった。

世渡り上手な姉と違い、江梨は嘘もつけずお世辞も言うのが嫌いだったから、姉と違い誤解ばかりされて、姉との仲もいいとは言えなかった。

江梨は余計な事は言わなかったから、姉が親戚や親に言うどんな嘘にも濡衣にも耐え続け、悪者にされ生きてきた。

単に世渡りが下手だったとも言える。

姉の言う事をまに受けた両親からも、姉自身からも辛い思いを強いられてきたので家を飛び出したのである。

姉は姉で妹の江梨ばかり両親の愛を受けているといつも誤解して、自分を両親によく見て欲しくそんな嘘を重ねてきたのだろう。

最近やっと姉に辛い思いをさせられていた事、小学校でいじめられっ子をかばいそれからは自分がいじめられた事、その時の担任に媚びない事で、担任が終わりの会で江梨を立たせ、

「朱に交われば赤くなる。頭が悪ければ劣等生だけど、江梨さんのように、頭はいいのに、先生に逆らう人を問題児と言います。
皆!江梨さんとは遊ばないように。」

と、言われた事、仲良しの二人が保身の為に江梨一人を悪者にした時、その二人の親に江梨とは遊ばせないように言った事等を話した。


それでも、事実なのに母は全てを信用してはくれない。

それは姉が、今でも母や親戚や夫の前でいい姉を演じ続けているからだ。
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