あの夏の永遠~二度と会えない君へ~
試練の時

辛すぎる現実

離れて電話だけのやりとりになると、ヒロがまた揺れているのがよくわかった。

ケンカが絶えなかった。

会えば抱きしめあって泣いてすぐに仲直りするのに、次第に険悪な雰囲気になるばかりだった。

ヒロのダブった例の友達は、

「ヒロは何をしてるんだ!俺ならすぐに退学して働くぞ!」

と、怒っていた。

好きになるのがこの人だったら良かったのに……。

二人はケンカと仲直りを繰り返し、最後はいつも相手を気遣うのだ。

無理もない。ヒロは勉強ばかりの人生で、遊びも許されず、何に対しても経験がなかった。

そこへ来て江梨は体を壊し、福祉の世話になっている母子家庭と言う身の上だ。

二人ともに厳しい現実と重い責任がのしかかっていた。
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