藍白の鬼


「儂はここにおるからの」


京次の部屋に連れてかれて…っていっても、自力で立てることなんてできないあたしは、そのまま京次に抱えられて彼の部屋にいる。


正確には、彼の蒲団の中に、だ。


だけど、京次が近くにいるのは安心できるけど。


安心できるけど、それでもあたしはなぜかとてつもない不安に駆られていた。


「儂がおる」


隣にいる京次があたしとの距離を縮める。


とにかく何か温かいものに触れていたくて。


あたしは京次の胸元に頭をうずめる。


京次の手があたしを包み込むように後頭部に触れ、撫でる。


一瞬、鳥肌が立った。


だけどすぐなくなって、安堵が押し寄せる。


「…………………」


もしかしたら。


今まで散々拒んできた彼を、今なら受け入れることができるかもしれない。


「京次、」


意を決して、あたしはその言葉を口にする。


「お願い、抱いて」


聞こえたのかは定かじゃない。


だけど、あたしの頭をなでる手が一瞬止まった。


言った後に後悔した。
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