最愛
「あ・・・・」
ゆりが声を上げる。
ゆりの視線の先では4,5歳くらいの男の子が泣いていた。
「迷子、かな・・・?」
俺はその子のところへ歩いて行く。
「夏樹?」
「お母さんは?」
しゃがんで話しかけると、涙をぬぐいながら答えた。
「いなく、なっちゃった・・・・・」
「迷子か。名前は?」
できるだけ笑顔をむけたつもり。
「けんと。おおもりけんと」
「よし、けんと。兄ちゃんと一緒にお母さん探そうな」
頭を撫でて、けんとを持ち上げる。
「わぁ」
「よし、しっかり捕まれよ?」
俺はけんとを肩車したまま周りを見渡した。
口パクでゆりにごめんと伝える。
ゆりは呆れたような困ったような、そんな顔で微笑んでくれた。