最愛
カタン
兄貴が俺の向かいに座る。
「ゆりは?」
「眠ってる。お前、子どもじゃないんだから。体のことも考えてやれよ」
「そんな説教聞きに来たわけじゃねぇよ」
はぁ、と兄貴が大袈裟にため息をつく。
「で、どうなってるんだよ?!父親は誰なんだよ?」
「俺の口から言えることじゃないだろ?」
ゆりに会いに行けって言ってるのか?
「もう少ししたら起きるから。くれぐれも、ゆりの体のことを忘れるなよ」
兄貴はそのままどこかへ行ってしまった。