最後の贈り物【短編】
翠の暗号
次に三人が向かった先は、独特の匂いを発する場所――美術室だった。

それほど広くない室内の壁には、所狭しと様々な絵画が飾られている。

油絵・水彩画・版画etc……。

子供たちは各々それら壁の芸術たちを眺めては感嘆の声を上げていた。

「うわー、オレ美術室って授業以外で来た事なかったけど、こんなにたくさん絵なんてあったっけ?」

「私もー。でも、私は美術室好き。ほらほら、コレ。夏休みの宿題で描いたやつだよ。先生が上手だねって褒めてくれたやつ」

健一と鈴の様子を眺めながら卓也はにっこりと微笑む。

「多分、色とりどりの森ってこのたくさんの絵のことを言ってるんだと思うよ」

卓也は両手を広げてぐるりと廻った。

「あー、なるほどな。うん、そうかもしれないな」

健一は物知り顔で頷く。
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