最後の贈り物【短編】
最初に飛び込んできたのは、袋を抱えた健一だった。

健一は千絵の前に来ると、抱えていた袋を掲げた。

「へへん。どんなもんだい。ちゃんと見つけてきたぜ」

得意気にそういう健一を見て、千絵は嬉しそうに笑う。

「そうね、すごいわ。で、中は見た?」

それに答えたのは、健一の後から入ってきた卓也だった。

「ううん、まだだよ」

「そう」

千絵は卓也にも優しい笑顔を向ける。

そして最後に入ってきた鈴を見て、千絵は顔を顰めた。

「鈴ちゃん、どうしたの!?」

「えっ?何が?」

千絵の問いかけに本気でわからないというように、鈴はほっそりとした首を傾げる。
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