そして秋。前期試験も終わり、緩んだ空気が私達を包み始めた。


「芽衣子、合コン行くよ!」

「寧々。……いいよ、そんなの」


食堂で大声張り上げるのはやめてほしい。
周りの人にまで聞かれちゃうじゃないの。


「良くないの。いつまで引きずってる気よ。もう十月だよ」

「引きずってるわけじゃ」

「引きずってます。いいから行こう。今晩。で、今から服見に行こう。勝負服」

「ちょっと寧々」


痺れを切らしたように強引に腕を掴む寧々は、私を立ち上がらせることには成功した。
だけど、そこで動きがピタリと止まる。


不審に思って顔をあげると、そこに一人の女の子が立っていた。

ショートヘアに、短パンとボーダーのカットソー。
彼女はいつもボーイッシュな恰好をしている。

いつもなら隣に一緒にいる彼は、今日は居なかった。



「……匡深さん?」


彼女は憮然とした表情で、私のことを睨み続けた。


「こんにちは、山口芽衣子さん。あなたに話があるの。いいかしら」


私は一瞬寧々と顔を見合わせて、そして戸惑いながらも頷いた。

< 54 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop