恋の病


「あたし、夏木のこと、初めて見た時から好きだったの」


地面に膝をつけたまま、ようやく顔だけは上げてくれた匡深さんが告げる。


「だから気づいた。夏木がいつもあなたを、伏木より先に見つけること」


見上げられるのは慣れない。
私はしゃがみこんで彼女と目線を合わせた。


「でも、あたしは安心してた。だってあなたは伏木の彼女だったから」

「……」

「いつか夏木は失恋する。その時がチャンスだって」

「でも」

「そう。でも、変わっちゃったんだよね。あなたの気持ちの方が。あたしずっと気が気じゃなかった。どうしようって」


彼女は目を伏せる。私はそれにイライラする。

例えそうでも、今はあなたが彼女なくせに。どうしてそんな不安そうな顔をするの。
私がお腹の奥底から望んでいる場所にいるくせに。



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