暴発する熱

 どうしたら抜け出せる。
 私の恋は、どうしたら終わりにできるの。


答えの出ない問いが頭の中で回り続ける。

ああもう、倒れてしまえればいいのに。
何もかも投げ出して。何もかも忘れてしまえたらいいのに。


「……待てって」


いつから呼ばれていたのだろう。
低い声が耳に届いて、頭の中が洗い流されたように真っ白になる。

それでも走ってる足は急には止まらない。
勝手に前に出る足にバランスを崩して、私はその場に転んだ。


「痛っ」

「大丈夫か」


肩で息をする私の前に現れたのは、同じように息を荒くする夏木くんだった。


「怪我したのか?」

「ど、……して」


なんで、ここにいるの。
どうして追いかけてきたの。

こんな姿、見られたくなかったのに。
ずっと会いたかった時に来てくれなかったくせに、なんでこんな時ばかり現れるの。


「膝、見せて」

「いや」


純粋に傷を心配する夏木くんから逃げようと、私はお尻で後ずさりした。

傷ついたような顔をされたって知らない。
今まで私を放っておいたのは彼だ。
……そう思うのに。彼が苦しそうだと私まで苦しくなる。
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