ドメスティック・エマージェンシー
「ただいま……」

家に帰ると、珍しくリビングに明かりが付いていた。
希望と好奇心を求めて、光の方へ歩み寄る。

ドアを開けると父と有馬が水色のソファーに座っていた。
その前に広げられる明らかにいつもとは違ういくつものご馳走。

目を瞑ると香ばしい匂いが鼻孔をくすぐり、食べ物を連想させる。

チキンだ。
それにシチュー、サラダ、ハンバーグ、ピザ……

目を開けると、ちょうど母がキッチンから出てきてテーブルに皿を並べていく。
私に気付いた父が「おかえり」と帰ってきたことを認めてくれた。

久々に言われたのに、何故か初めて言われたような気分で、何となく気恥ずかしい。
だけど嬉しくて笑いかけた。

「お母さん、何?これ」

「有馬の退院祝いよ、昨日出来なかったから」

お父さんもお母さんも今日は仕事早く上がらせてもらったの、と母は子どものように無邪気に笑った。

久々の家族団欒に幸せを感じる。
やっぱり、家族が好きだ。

有馬を見ると有馬も幸せそうに笑っていた。






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