黄金時間が過ぎるまで
そう言って紙袋を開けると、甘い香りが広がった。

「チョコのカップケーキです。甘いもの大丈夫?」

「うん、ありがとう…手作り?」

興味津々にケーキを見て聞いた。

「一応…」

「へーすごいね、こーゆーの」

感心しながら、一つ手に取ってみた。

「あ」

白い猫がいつの間にか、鳴海の膝の上に乗って来て、ケーキの入った袋に顔を突っ込んでいた。

「せっかくだし、お茶にしようか?」

鳴海は猫の頭をグイと押し戻すと、千歳に言った。

「んじゃ飲み物買って来るよ、何がいい?」

「レモンティー」

「OK」

「あ、猫に牛乳もよろしく」

「OK、OK」

千歳は歩き出しながら、背中で答えた。


″自分の誕生日に猫と一緒に、お茶会とは…なかなかオツなものだな…″

鳴海はクスリと笑って、猫の頭をなでた。
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