フェイク
「……わかりました」



私自身の気持ち、それに翼さんの気持ちを考えると、返事はそれしかない。



「すみません」


目の前に広がる真っ黒な海に向かって、翼さんは呟いた。




遠くに聞こえていた波のささやきが、急に耳元に迫ってきたように感じられた。



街灯の白い光が、私たちを静かに見下ろしている。
< 148 / 200 >

この作品をシェア

pagetop