まほろば【現代編】
そんな私の思いを感じ取ったのか、それまで隠れていた白い鳥が私の肩の上に姿を現した。

この鳥(だと思うんだけど)は、ホムラ。

中学のときに私が迷い込んだ不思議な世界で、不思議な少年とともにいた妖。

その時は掌に乗るぐらいの小さなかわいらしいフワフワ綿毛の真っ白な鳥だったけど、最近何だかちょっと成長してきていて、今は鳩ぐらいの大きさになっている。

そしてどうやら、この子は他の人には見えないらしい、ある一人を除いては……。

チラリと飛龍君の方を見る。そこでバチリと視線が交わって慌てて視線を逸らした私の横で、呆れたような大きなため息が聞こえた。

「はぁー、別にそんなに警戒することないだろ? 別にとって食いやしないよ。だからソイツにもそんなに威嚇するなって言ってくれ」

私の肩の上で真っ赤な瞳を見開いて、鋭く尖る歯が並んだ嘴を開いているホムラに、飛龍君は冷たい視線を向けている。
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