まほろば【現代編】
「ごめんね。二人のこと見てなくちゃいけないから今日はここまででいい?」

「えっ? あっ。うん、そうだよね」

慌てて立ち上がるとホムラの申し訳なさそうな顔が目に入った。

「ホントごめんね。またいつでも来てね。それと何かあったらすぐにボクのこと呼んで。飛んでいくから」

両手で紗和ちゃんと紗来ちゃんの頭を優しく撫でながら、ホムラはその赤い瞳に情熱の炎を灯した。

ホムラが飛んでくるのはきっと言葉の通りだろう。

頭の中はいろんなことがぐちゃぐちゃしているけど、そんなホムラの言葉に一人ではないという安堵感が広がった。

「うん。ありがとう。じゃあ、またね」

作り物ではない笑顔を見せることが出来たと思う。

その言葉を最後に、中臣家を辞去した。

帰り道は、頭の中をさっきまでのことがぐるぐると回っていた。
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