まほろば【現代編】
はっきりいって食欲はあまりない。

だけど、雅仁さんには感謝しきれないほど世話になっているのにこれ以上心配を掛けさせるわけにもいかない。

なるべく笑顔に見えるような顔を作ってテーブルに着いた。

肉体的にも精神的にクタクタに疲れ果てた俺は機械的に食事を口に運んでいた。

紗綾は紗綾でやっぱり疲れているのか口数は少ない。

沈黙に包まれた夕食の席に突如、場違いなほど元気のいい声が響いた。

「おぉ、そうだ。飛龍君に紗綾ちゃん。明日近所で夏祭りがあるんだ。どうだい、毎日毎日歩き回って疲れてるだろう? 明日ぐらいは休んで二人でお祭りにでも行って来たらどうだ?」
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