まほろば【現代編】
今は、仔猫ほどの大きさということはそれぐらいしか力を発揮できないということだ。

ホムラが小さな鳥のような姿だった時ときっと同じことなのだろう。

あの時は、ある程度の力を持つ人間にしかホムラを見ることが出来なかった。

そして、この白虎も今は同じように他の人たちの目には見えていない。

「とにかく、一度戻ろう」

今度の提案は却下されることなく聞き入れられると、俺たちは逸る気持ちを抑えながら雅仁さんの家へと戻った。

雅仁さんは、今日の成果をまるで我がことのように喜んでくれた。

確かに、当初の目的は達成されたことになる。

だから、後は大手を振って帰ればいいだけのこと。

それはわかっている、わかっているが……。

しかし、悩んでいても仕方がない。

とにかく、できるだけ早く戻ろう。それが最善の策のように思えた。

その夜、ハルカとの電話で白虎が見つかったことと明日帰ることを告げた。

やっと、ハルカに会える。

色々と気がかりはあるが、それだけは心から嬉しいと思えることだった。
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