まほろば【現代編】
この神社は、高い木々に囲まれているので直射日光がさす場所はあまりなく、比較的涼しく感じる。

リュウの横に腰かけ、ここぞとばかりにじっくりとその寝顔を観察する。

うわー、やっぱり綺麗な顔してるなー。

女の私が羨ましくなるほど、肌はすべすべだし、睫だって長いし。

「はー」

思わずため息をついてしまった。

「う、ん?」

気配に気づいたのか、リュウは何度か瞬きをするとちょっと物憂げな表情のまま私を見つめた。

「あぁ、ハルカ。おはよう」

どうやら、ちょっと寝ぼけているみたい。

でも、助かったかも。

だって、こんなにどぎまぎした状態でまともにリュウと会話することなんてできないもの。

「お、おはよう」

顔を逸らしつつ、横目でチラリとリュウを盗み見れば欠伸をしながら伸びをしている。
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