まほろば【現代編】
「なに?」

リュウの腕の力が緩んだので、少し体を離してその顔を見上げる。

「俺のことを信じてくれないか?」

真っ直ぐに私のことを見つめる漆黒の瞳に強い決意のようなものが窺えた。

リュウが何を考えているのかなんてわからない。だけど、リュウのことを疑うなんてこと、したくない。

私は私で、何があってもリュウのことは信じようと強く心に誓い、リュウにわかるように大きく頷いた。

リュウの口元にホッとしたような笑顔が浮かんだ。

それに釣られるように私もリュウに微笑み返した。

「ハルカ、もう一度だけ言うから聞き逃すなよ」

急に照れたような表情に変わったリュウに、自然と首が傾げてしまう。

リュウってば、何を言うつもりだろう? 
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