まほろば【現代編】
こじんまりとした鳥居の向こうには、これまたこじんまりとした、だけどどこか荘厳な気配を漂わせた社があった。

鳥居を抜けて風が髪を撫でていく。

わけもわからず、私はそこにただ立ち尽くしていた。

飛龍君が私の前に立つまで、その大好きな人の存在すら忘れていたようだ。

目の前に立った飛龍君はすこし寂しげな瞳を見せると、そっと手を伸ばして私の頬に流れる雫を拭ってくれた。

自分でも気づかないうちに流れ出ていた感情。

「ハルカ……行こう」

優しく私の肩を抱くように歩き出す飛龍君。

ねえ、飛龍君。

あなたは誰なの? 

この私の感情は何なの? 

あなたが見せるどの顔が、あなたの本当の素顔なの?
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