まほろば【現代編】
「ほらほら、見てよリュウ。シロも気に入ったみたいだよ」

「いや、気のせいだろ」

「そんなことはないみたいだよ。な、シロ」

ホムラが撫でながら名前を呼ぶと、頭を手に擦り付けるようにグリグリしている。

私とホムラが代わる代わるシロを可愛がっていると、それまで苦笑しながらその光景を見ていたリュウが口を開いた。

「ハルカ。次は一週間後にまたここに来てくれ」

「えっ? うん。でも、その間はどうしてればいいの?」

「自由にしてていい。だけど、アイツには……会うな」

強い言葉ではなかったけど、逆にそれゆえ逆らえない気がした。

私が小さく頷くと、リュウにしては珍しい弱々しい笑顔を見せた。

そういえば、何で真人君があの場にいてもリュウは何も言わなかったんだろう? 

聞きたい気持ちは膨れ上がる一方だが、そんな笑顔を見せられたら何も言えなくなってしまう。
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