まほろば【現代編】
リュウの瞳には私よりも強い意志が宿っているようで、もうこれ以上私のわがままを通すことは出来ないと悟った。

「――わかった」

「ありがとう」

ホッと安堵の息を吐くと、リュウは再び私を引き寄せ強く抱きしめた。

リュウの温もりを感じていると、自然と気持ちが落ち着いてくる。

さっきまでのかき乱されるような感情はどこに行ったのかというくらい、穏やかな心持でいると、耳元でリュウの囁きが聞こえた。

「ハルカのことは俺が護るから。絶対に」

それは、私にというよりまるで自分に言い聞かせるかのようだった。

だから、私も心の中で密かに誓った。

リュウのことは、私が絶対に護るから……。
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