まほろば【現代編】
真人には前々から何か玄武とは異質なものを感じてはいた。

しかし、それが何かは全くわからなかった。

ハルカの話を聞いて、ある仮説が頭の中に浮かんだ。

土蜘蛛――

中臣家が所蔵する古書に、土蜘蛛に関する記述がある。

それは、噛み砕いて言えば大昔に封印されたはずの妖・土蜘蛛が何者かの手によってその封印を解かれ、どこかに連れ去られてしまったというもの。

それもずいぶん昔の話ではあるが、中臣家に代々伝わる裏の歴史でもある。

その土蜘蛛と真人がなんらかの関係があるのではないのか? 

そんなことが脳裏を駆け巡る。もし仮説が仮説でなくなってしまった場合、それはあまりにも危険だ。

ハルカにはここで一旦引いてもらったほうがいいだろう。
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