まほろば【現代編】
ハルカのことは、中学に入学したときから知っていた。

向こうがこっちを知っていたかどうかは知らないが、あんなに強い気を放っている人間がいたら嫌でも目に付く。

周りの人間もおそらく本人ですらそのことに気づいていないようだったが。

ただ、ハルカの気は周りの人たちを和やかにする効果があるらしく、ハルカの周りは常に暖かな雰囲気に包まれていた。

気づくといつも彼女を目で追っていた。

それでも、自分の仮面をはずす気はなかった。

だけど、あの遠足のとき……。

何かの強い気に当てられ気分が悪くなり、木陰で休んでいるとその気分の悪くなった原因を携えてハルカが近づいてきた。

何を持っているのか問いかけたると、ハルカは何でもないことのように其れをポケットから取り出した。

その瞬間、強い光に包まれて気づいたときにはハルカの姿が消えていた。

だが、それほど時を置かずして再び同じような強い光が放たれるとハルカと不思議な生物の姿が現れた。

ハルカを吐き出した空間が閉じる瞬間、あの少年と目があった。

その時、自分の中の何かの箍が外れるのを感じた。
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