まほろば【現代編】

スサノオは私のそんな行動をただじっと見ているだけ。

イリネは不審そうに私のことを見ていたが、スサノオが何も言わないからか特に何か行動を起こす気はないみたいだった。

「ちょっとだけ紗綾さんと話をさせて」

真っ直ぐにスサノオの目を見てそう言えば、スサノオはただ無言で一つだけ頷いた。

それを確認して、私は紗綾さんの腕をとるとイリネから少し離れた。

「紗綾さん、大丈夫？」

言葉をかけてもまだぼんやりしている。

悪いとは思ったけど、力を抑えつつその頬をピシャリと叩いた。

一瞬驚いた顔をしたけど、やっと目が覚めたのかいつもの強い光を湛えた瞳が戻ってきていた。

「ハルカちゃん……」

「もう、大丈夫ですか？」

「うん、大丈夫。それより、ごめんね。私どうかしてた」

「それは今はいいです。それより、さっきのスサノオが言った言葉覚えてますか？」