まほろば【現代編】
私の心臓は嬉しさのあまりありえない速さで暴れまわっている。

「ハルカ」

さっきよりも少ししっかりとした声で私の名を呼ぶと、リュウの手が私の頬に触れた。

「リュウ……」

「ハルカ、大丈夫か?」

こんなときなのに私の心配なんかして。

「リュウの、バカ」

私の言葉にリュウが苦笑する。

本当は、違うのに。そんなことが言いたいわけではないのに。

そのとき、リュウの手が降りてきて私の胸元に触れた。

「ちょ、ちょっと、リュウ!?」

慌てる私とは対称的にものすごく真剣な眼差しでリュウが見返してきた。

「ハルカ、何を持ってる?」

「えっ?」

「ここにあるのは、何だ?」
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