まほろば【現代編】

普通の男子だったら、優香ちゃんのような女の子に迫られたらイチコロだよね。

だけど、飛龍君はどうだろう？　

何だか優香ちゃんと一緒にいる飛龍君というのが想像できない。

「えっ、あぁ……まあ、同じは同じだったけど……。彼女はいたのかな～？」

そういえば、飛龍君が誰か特定の女の子と一緒にいるのすら見たことがないかも。

あんなにモテるんだから、彼女の一人や二人（いや一人じゃなきゃダメだけど）いてもおかしくないのに。

「おーい、緒方さーん」

考え込んでしまった私の顔の前で優香ちゃんがヒラヒラと手を振っている。

ハッと顔を上げたところで、その優香ちゃんの背後に誰かが立って影を落とす。

視線をさらに上げると、そこにいたのは噂の飛龍君。

「あっ、中臣君……」

私の呟きに、優香ちゃんはキャッと言いながら飛び跳ねるように振り返ると、飛龍君にとびっきりの笑顔を見せている。

「アハ、中臣君。どうしたの？」