まほろば【現代編】
あまりにも普通の子供っぽいその姿に、あの神々しかった紅の鳥が霞んでしまう。

「えーっと、リュウは?」

思わず顔を綻ばせながら尋ねると、ホムラの次の言葉に今度は顔が強張った。

「もう、行っちゃったよー」

硬直している私を、ホムラは不思議そうに首を傾げて見ている。

私を見ているため、疎かになった口元からはアイスがポタポタと垂れて石畳に染みを作っていた。

「どうしたの?」

再びそう聞かれて、我に返った。

「も、もう行っちゃったの?」

「うん。だって、そう言ってあったでしょ?」

「えっ? そうだっけ?」

「うん。この間来たときそう話したでしょ?」
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