For 10 years
「俺が好きでやってるから、返さなくていいよ。つか、絢華ちゃんが笑っていればそれでいい。それが返しになるから」



そうなんだ……


俺は、絢華ちゃんの笑顔が見られればそれでいい。



「そんなんでいいの?」


「ん……イブ、楽しんでこいよ?」


「うん、ありがとう!」



そう言いながら、俺が一番好きな笑顔を見せてくれた。


ほんとは俺の隣で、この笑顔を見せてほしかった。


でも、絢華ちゃんにとって隣にいてほしいのは……


俺じゃない。


だから……


俺の傍にいなくても、いつまでもこの笑顔を絶やさないでいてほしい。


それが、今の俺にとって一番嬉しいことなんだ。
< 101 / 119 >

この作品をシェア

pagetop