For 10 years
車内では、相変わらず上機嫌な紗羽ちゃんが、俺が避けたい話題を出してきた。



「隼人さんは彼女いるんですか?」


「……いないよ」


「えーっ!絶対にいるって思ってたのに!ねぇ絢華?」


「えっ……あ、うん。そうだね」



興味なさそうに答える絢華ちゃんに、やっぱりなと思いながらも、ショックを隠しきれない。



「もーっ!なに、そのテンション低そうな声は。また優太さんのことでも考えてたんでしょ!?」


「うん」


「そうだった、そうだった!絢華は優太さんしか見えてないんだったね。ごちそうさま!」



そんな会話を聞いて、俺のことなんてほんとに眼中にないんだなと、泣けてくるほどへこんだ。
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