For 10 years
「絢華ちゃん、食べてる?」



俺の声に、ゆっくりと視線をあげた絢華ちゃん。



「あ、隼人さん。調理場はいいの?」


「おぉ、今客が少ないからな。蒼太、優華、今日はどっか行ってきたのか?」


「うん!パパのおはかまいりにいってきたよ!」


「そうか、ちゃんと手を合わせてきた?」


「うん!ボクね、パパにいっぱいおはなししてきたんだ」


「そっか」



蒼太は嬉しそうに、パパのお墓参りへ行ったことを俺に話す。


でも優華は……



「ゆうか、パパにはあえないんだって……」



そう言って泣きだした。


それを見てか、絢華ちゃんも涙を流した。


絢華ちゃんは優華を抱き締めながら



「優華……ママもね、パパに会いたいんだよ。でもママだって、我慢してるんだよ」


「ママもがまんしてるの?」


「うん、でもね……」
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