For 10 years
絢華ちゃんが鍵を開けて、みんなで部屋に入ったけれど……


絢華ちゃんが怪訝な顔をしてる。


舜くんは絢華ちゃんになんと言ったんだろうか。


それがわからないから、俺も余計なことは言えない。


そんな空気を破るように、蒼太が



「ママ!ここにはいってこないでね!わかった?」


「えっ……うん」



絢華ちゃんは戸惑いながらも、首を縦に振った。


そして、蒼太と優華と俺はいつも二人が昼寝をしている部屋に入り、戸を閉めた。



「よし、すぐに飾るぞ」


「「うん!」」



たくさんの飾りを紙袋から出して、三人で次々と飾っていく。


ママのためにと、一生懸命飾りを手にしている二人の表情は、凄く輝いていて、ほんとにママのことが好きなんだなと、俺まで嬉しくなった。


突然戸の向こうから



「蒼太、優華、ご飯ができたよ」



という絢華ちゃんの声が聞こえたけれど……



「もうちょっとまってて。ママはゆっくりやすんでて」



なんて一丁前なことを言う蒼太に、思わず笑みがこぼれた。
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