吐息-TABOO-
吐息
ようやく離れた唇を、息を切らしながら見つめた。

「...どうして?」

振り絞って出したはずの声が掠れている。

「わからない?」

私の質問には答えてもらえぬまま、問われた。ちょっと狡いんじゃない? 仕掛けたのはあなたなのに。

「離れて」
「嫌だね」

両手を再び本棚に押し付けられ、唇を奪われた。

もうほとんどの生徒が帰ってしまった放課後、三階の校舎の端。

図書委員の私たち以外に誰もいない図書室。

一緒にこの曜日のこの時間を過ごすようになってから、もうすぐ一年は経つのに。

今更、どうして?

私の彼氏とののろけ話だって、いつも聞いていたでしょう?

ちょっとしたことで不安になって泣く私の背中を、いつも強めに叩いては、「大丈夫、あいつはお前のことちゃんと好きだよ」って励ましてくれたのに。

彼は、あなたの親友なのに。

ねぇ、どうしてこんなことするの?

両手を塞がれて押さえつけられたら、押し退けることもできない。

私は首をふって彼から逃れようとした。

すると今度は、両手をひとつにまとめ上げ、空いた片手で顎を固定された。

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