ブスも精一杯毎日を生きてるんです。


私の通う都立甘糟学園高校の文化祭は、夏の始め、6月の第四土曜日に始まります。

この時期に文化祭とはやはり珍しく、他の高校と被らない分、来場者数は都内一と言われるほど。

そして本日は、文化祭の取り決めを行う大事な日です。


「まず、文化祭の実行委員を決めるぞー。立候補者いるかー?」

クラス全体をきょろきょろと見渡している担任の目から、なんとなく逃れるようにほとんどの人が斜め下に俯いた。

「はーい。俺やりまーす!」

明るい声が教室に響いて、みんなの視線が一点に集まる。

湊人はその中心にいた。

まっすぐ天井に向けて、手をあげている。

気合はいってんなあ、と他人事のように私は口の中で呟いた。

「じゃあ、水谷は決定だな。もう一人やりたい奴はいるかー?推薦でもいいぞ!」

ざわざわとする教室。

みんなが言っていることは簡単に想像できる。

湊人がやるなら実行委員やっても良いかな、

そんなところだろう。

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