ブスも精一杯毎日を生きてるんです。
直哉Side.
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プルルルルル…
「もしもし!…申し訳ありません。すぐ別のものを用意いたします!…はい。…はい。…ではご住所をお聞きいただいてもよろしいでしょうか?…はい。わかりました、では失礼します!」
プルルルルル…
「もしもし!…はい。ご購入ありがとうございます!…はい。こちらに至らない点があって申し訳ありません。…はい。少々お時間頂いてもよろしいでしょうか?」
社内の営業部が声高らかにマニュアル通りの言葉を並べ立てる。
新人教育に関して、うちの会社は日本で、いや世界でもトップクラスだと俺は思っている。
ついこの間までヤミ金企業で小金を稼いでいたあいつらが、この数日で使える社員へと成長した。
営業部でクレーム係として働かせるのが彼らには一番適しているだろう。
「社長っ!お茶です!」
新人の秘書がコーヒーを手渡してくる。
受け取ろうと、体を前のめりにすると、
秘書が足元に置いてあったゴミ箱につまづき、コーヒーをぶちまけられた。
「きゃあっ」