喋るネコ【短編大喜利】



「あぁ、今日はけっこう疲れたな。でも、無事に済んで良かった。
……昨年のハロウィンは、大変だったもんな。」

僕はそう話しながら、ベッドにごろっと横になる。



「でも、貴重な体験だっただろ?」

「そりゃあ貴重と言えば貴重だけど……」



(……ん?)



僕は、奇妙な違和感を感じた。
今、返事をしたのは誰なんだ?
落ち着いた男性の声だった。
でも、この部屋には、僕と黒猫のアレクしかいないのに……

身体を起こし、僕は部屋の中をぐるっと見渡す。
だけど、やっぱりこの部屋には僕達の他には誰もいない。



(もしかして、空耳……?)



「おい、どうしたんだ?」

「どうしたって…今……えっっ!?」

ふと見ると、アレクが僕の顔をじっと見上げてて……



(まさか、な……)



「アレク…今、答えたの……おまえじゃないよ…な?」

我ながらバカな質問をしているとの自覚はあった。
なのに……



「俺に決まってるだろ。
ここには、俺と君しかいない。
それに、昨年のあのことを知ってるのも、俺と君だけじゃないか。」




「……う…う……うそーーーーーっっ!」



冷静に答えるアレクに、僕は裏返ったおかしな声で反応した。
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