赤いカスミソウ
「……単純な話っすよ。忘れられない奴がいるんです。」


そう言うと先輩は意外だったのが思いっきり驚いてみせた。


「へぇーあの告白してくる奴を全員振った女泣かしのお前が!!なんて名前?」


「言っても知らないから意味ないんじゃ…、つーか俺めっちゃ酷い男に聞こえますけど……」


「事実だろ?名前は今から根掘り葉掘り話を聞くから知らなきゃ不便だろ?」


根掘り葉掘り聞く気かよ…


俺は頭を抱えた。でも、この先輩なら言ってもいいのかも知れない。


なんだかんだで一番可愛がってくれていたし、キャプテンだったせいか、かなり頼りになる。


俺は今も口にするだけで痛む名前を声にした。



「…雨苗慧……って奴っす。」



そう言うと駿先輩は一瞬考えたような素振りを見せた。


「雨苗慧…?」


「先輩…?」


「んー…珍しい名前だなっ!」


ニヤリと笑ってから続けろと言った先輩に俺は首を傾げながら話始めた。



三年前のあの夏の日を。

――――――――



「……友達だったんっすよ…」



そう言って話終えた後、先輩はまたさっきのようにニヤリと笑った。


「…で?お前高橋サンは…?」


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