赤いカスミソウ
最後のわがまま
さよなら、この想い



さよなら、大好きな君



side・慧



もう6時だというのにまだ明るい外は教室を赤に染め上げていた。


静まり返ったそこは夕日のせいか、どこか寂しく感じた。



「変わってねぇなぁ…」


藤咲がポツリと呟いた言葉に私はふっと回りを見回した。


3年前とは変わらない赤く染まった教室。




変わってしまったのは藤咲と私だけ。




ううん…



私はあの時と同じまま…



(だから)



「…藤咲。」


「んー?」


私の声に窓の外を見つめていた藤咲はこちらを向き、私と眼とぶつかった。



それだけで心臓がぎゅうっと締め付けられる。



なんで苦しいの。



ただ好きなだけなのに。


苦しいよ。



「っ…最後に…わがまま言ってもいいかな…?」


「……最後…?」



私はゆっくり頷いた。


すると藤咲は一瞬悲しそうな表情を浮かべた後ふっと笑った。


「……最後にわがままね…いいよ。俺でできる範囲なら。」



その言葉を聞き、私は震える手をギュッと胸の前で握り締め、最後のわがままを口にした。


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