文学彼氏







「瀬野くん、その本面白い?」


「中々。

でも、この自問自答矛盾してる」



ほら、なんてその箇所を
指さしながら見せてくるけど


やっぱり私には分からない。



地べたに座りながらテーブルの上にあるカップを掴みとりあえず相槌。



「朔暇してんの?」


「気付くの遅いな瀬野くん。
なんなら暇すぎて私ちょっと眠たいです」


「寝なよ」


「いいの?
じゃあちょびっとだけ」


「うん」



あいた片手で頭を数回ぽんぽんされる。

それだけで満たされちゃう私は安上がりな女だ。

へへっ、とニヤケながらソファーに頭を預けると、静かに目を閉じる。

なんだかんだで、私のほうが瀬野くんの隣を安心としているみたい。









< 4 / 78 >

この作品をシェア

pagetop