文学彼氏





「ぐ、っ、う! ん?!」


すると、いきなり背中にドスン、と重い何かが伸し掛かる。


その反動であたしの体はカーペットと密着した。


せ、瀬野くんの両腕が背中に…!


なのに当の本人は
あくまでシレッとかわす。



「本に飽きた。相手して」


「いや、今ちょっとザッハトルテで…」


「いーよもうザッハトルテは。
朔どうせ作れないでしょ」


「なんですとおい」


なんか作れないって
断言されると悔しい!


頑張ったら作れる!

かもしれないじゃん。


瀬野くんが美味しそうって言ってたから少しでも喜ばせたくて頑張ろうと思ってたのに。


そんな純情な恋の乙女の気持ちを…!

鬼畜! 意地悪! 無駄にカッコいい!



心の中で罵倒するとそれが通じたのか瀬野くんがあたしから退く。


背中が軽いって素晴らしい。




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