今…君のために出来る事 今…君のために生きる事
言いかけて失敗した…。昔から…僕の嘘は亜紀に通用しないという事を忘れていた。
「どうしたぁ!?顔が赤いぞ!」
さらに亜紀の顔はイタズラ味を帯びていた。覚悟を決めて…体を起こし、顔は下を向いて僕は口を開いた。
「バイト先に来る…女の子が気になるんだ。」
ちらっと亜紀の顔を見たら…真剣な顔だ…。
「好きって事?」
「まだ…わかんないよ…。ただ…。」
「ただ?」
そこから…僕の唇が重く感じた…。少し間を置いて…ゆっくり深呼吸しながら…重くなった唇を僕は動かす…。
「僕は…今以上の感情…もちたくないんだ…。こんな体だから…。」
また…涙が流れていた…。
「…そう…。」
そんな僕を見て…亜紀ももう…何も聞かないし何も言わなかった…。

翌日…そしてその次の日も…彼女は店にきていた…。
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