Bandrium~きみに捧ぐ恋のうた~
Chapter 7 はじまりのうた



今日もいつものように本棟から別棟にある第二音楽室に向かって歩いて行く。



季節もここに初めて来た秋の初めから少しずつ変わって……



日が短くなって、吐く息が白く見える日がちょっとずつ増えてきた冬に近づいてきた。



「あれ?誰も来てない」



めずらしいな。いつもなら誰かしら来て準備してるのに。



まだ終わってないのかな?



でも話す相手もいないんじゃ暇だな。



何して待ってようかな?と思いながら音楽室の暖房を入れてキョロキョロしていると



目の前にある大きな黒いグランドピアノに目が止まった。



「最近全然弾いてないけど……弾けるかな?」



わたしは近づいて鍵盤蓋を開けて、椅子に座ってみた。



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