外国育ちのお嬢様は硬派がお好き

「田中さんの気持ちは良く分かったよ」

「じゃぁ・・・」ぱぁっと花開く笑顔

「・・・ん・・・」何かを決めたように頷く祐哉。

待って、ダメだって。分かったなんて言わないで。

なんでそうなるの?どうなろうとしてる?

その人じゃないよ、祐哉、好きじゃないでしょ?

なんでそんなこと言ってるの?何、言おうと・・・してる?

拳をぐっと握りしめる。

心臓は息を吹き返したように激しくポンプする。血は顔にのぼり熱くなる。

「しゃ・・・ちょう?」顔を覗き込む田中さん。

ダメだってば、近づかないで・・・

それ以上近寄らないで!

顔を横に向けて、田中さんに微笑む祐哉は、
こっちからだとどんな顔してるのか分からないけど、
かすみさんが、脱力して首を小さく振ったのを見て・・・

分かった気がした。


・・・やめて

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