わたし色15分間【短編/未完】



体中に力が入って、
飲まれそうなほどの
感情に包まれた。

…そうだった。
自分に言い聞かせてきた。

この気持ちは
人に伝えたいって気持ちは

自分でも
わからなくなるほどに強くて

…誰にも 負けない。
気持ちだけは。
強すぎるくらいの感情を
自分は 持ってる。

拍手が聞こえて
ふと我に帰る。
まだ心臓がばくばくしてる。

「それでは、次のお三方、
お入りください」

…もう引き返せない。

いや、
引き返す必要はない。
引き返すわけにはいかない。

自分の思いを 伝えるために。

この舞台の静寂と
たった一つの光は、まるで
自分だけの世界が
そこにあるようで。

――行くよ、自分。

――14:15――



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