東京
一通りうひゃうひゃはしゃいだ後、あゆみに訪ねた。

「何かあったんだら?」


『‥お見事』

ふう。と息をつき、その場の縁石に腰を下ろす。

「どうした?」


『リキがね。
犬が死んだの。』

「リキで分かるよ。」


リキはあゆみの家の愛犬だ。

『小学生の時に拾ってきたの。』


「第一公園だっけ?」


あゆみはまたこっちをむいて、ニカッと笑った。


『なかなか頭がいいですね。』


「それほどでも。」


強がるとき、あゆみは必ず髪をさわる。


ふと見ると、髪をさわるあゆみの目からはボロボロと涙が流れていた。


『もっとさ、可愛がってあげればよかった。』



「うん。」




『ちゃんと早く起きてね、朝も散歩ながぁくしてあげればよかった。』



「夜してたら?」


朝に弱いあゆみは、朝の散歩を母親に任せていたそうだ。
その代わり。夜の散歩は一時間程していた。

隣でグスグス泣くあゆみ。
いつか大人になるのかな。

俺も。泣き虫なあゆみも。
泣かなくなるのかな。



『どっか行った?』



「へ?」



『目がぶっ飛んでた。勘弁してよ。泣いてんだからさ。アハハハハハハ!』

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