東京
『おかえり雅也』


「ただいま」


久しぶりの実家。

玄関まで出てくる母親は、エプロンで手を拭きながら
おじゃましますと言う元気な声にくしゃりと笑う。

初めて見た東京の友達に
両親は大喜びだ。
実家はいい。
落ち着く。

リビングには変わらず母さんと親父がいて

部屋のベットの下には
灰皿が隠したままだった。いつこれに気付くんだろう。
もしくはもう、ずっと気づいてるのかもしれない。

「ばっちの匂いするね」

「え?」

『タバコと香水の匂いするやんね?』

自分では東京と静岡じゃ全然違うと思っていた。


『東京のばっちの部屋だけ、静岡の匂いになったのかもね』

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